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執筆者の写真中谷洸太

学校法人の役員の責務について~第三者委員会に関わって~

先日、関与させていただいた第三者委員会報告書が公表されました。

その中で、今回の学校法人だけでなく過去に関与してきた特殊法人の運営で役員さんについて感じていた違和感や注意喚起したい点があるのでいくつか所感をまとめます。


1.役員とは

特殊法人の公益性を担保するために外部の役員を入れるということで、制度が整備されていますが、役員さんのうち、学校法人の運営・経営に関する知識を有していて、すべての意思決定に於いてすぐに何が学校法人にとって適切かどうかはわからないと思います。

しかし、わからないからといって、専門知識のある他の役員の説明を聞いて、それだけをもって意思決定をしてはいけません。


役員とは、「法人」から「法人の運営・経営」について「委任」をされた「個人」です。


つまり、役員になった個々人に対して適切な法人の運営・経営を期待して委任をしていることになります。

その中で、法人から適切な運営を期待された他人を信用するかどうかも含めて自己判断となるわけです。

特に無報酬や低額の報酬で役員をしている場合は、○○さんに頼まれたたからという方が多いかと思いますが、なぜ自分なのか再度確認をして頂きたいです。


2.役員会について

また、役員会にて、反対票を投じないということは消極的にでも賛成をしていることと同義になります。

最終的に問題が起こったときは、議事録でしかその当時の発言や意思決定を確認することはできません。その中に、反対意見を述べた旨の記録等がなければ、それは賛成をしていることになってしまうのです。


疑問があったり、違和感があるときは、自分に知識がないからという理由で終わるのではなく、疑問を解消し、その場で意思決定をするか、もしくは、継続審議としてもらい、次回に持ち越しにする等の対応が必要となります。


また、議事録署名人の方は、しっかりと議事録の中身を確認し、その議事録に正しく漏れなく記録されていることの確認が肝要になります。事務局の方に、「ここに印鑑を押してください」と言われても、その中身を確認した上で、押印をすることが重要になります。


3.まとめ

なんとなく、他人を疑えというニュアンスに見える文章を書いてしまったかもしれませんが、意図することは「他人を信じすぎないでね」、「判断するのは自分自身でね」というのが、大事なところになります。


また、これは今回の法人での問題というわけではなく、さまざまな組織体で生じている問題です。

こんなしっかりと関わるなんてできないというなら、報酬をしっかりとりましょう。報酬を払えるだけの財力がないのであれば、支払ができるロールモデルにするか、報酬が低くてもしっかりと関わってくれる人を探しましょう。


できない理屈をいくら並べたところで有事の際には自分を守ってくれる盾にはならないということを理解し、自分の身を守るためにもしっかりと運営ができる状況を作ることが肝要となります。

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