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中谷 洸太

新しい収益認識に関する会計基準のポイントを押さえてみた


2017年7月20日に収益認識に関する会計基準(案)がASBJ(企業会計基準委員会)から公表されました。

今回公表されたのは案の段階ですが、2018年4月1日以後開始する事業年度より早期適用が可能で、2021年4月1日以後開始する事業年度からは本適用となります。

内容を簡単にまとめると

・収益を5つのステップで認識

・契約の履行義務毎に対価を設定

・第三者のために回収する額は収益に含まない

・顧客に支払われる対価は取引価格から減額する

といったところでしょうか。

〇収益を5つのステップで認識

次の5つのステップを用いて収益を認識します。

1.契約を識別

  顧客と合意し、かつ、所定の要件を満たす契約に適用

2.契約における履行義務を識別

  契約において顧客への移転を約束した財又はサービスが、所定の要件を満

  たす場合には別個のものとして、当該約束を履行義務として区分して識別

3.取引価格を算定

  変動対価又は現金以外の対価の存在を考慮し、金利相当分の影響及び顧客

  に支払われる対価について調整を行い、取引価格を算定

4.契約における履行義務に取引価格を配分

  約束した別個の財又はサービスのそれぞれの独立販売価格の比率に基づき

  それぞれの履行義務に取引価格を配分

5.履行義務を充足した時にまたは充足するにつれて収益を認識

  約束した財又はサービスを顧客に移転することによって履行義務を充足し

  た時又は充足するにつれて充足した履行義務に配分された額で収益を認識

〇契約の履行義務毎に対価を設定

履行義務を充足した時に又は充足するにつれて、取引価格のうち、当該履行義務に配分した額について収益を認識します。

〇第三者のために回収する額は収益に含まない

仲介手数料を基礎とした業態の場合は、預かった金額を売上として収益認識するのではなく、手数料分のみを収益と認識したり、税抜方式の会計処理が基本となります。

〇顧客に支払われる対価は取引価格から減額する

顧客に対するキャッシュバックやお礼の品などの相当額は収益としてそもそも認識をしないという形になります。

一方、税務面では

現時点では法人税法22条に「資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする」と定められており、会計基準と収益認識に差異が生じることになりますので、申告書上での調整の要不要を確認する必要がありますので御注意下さい。(消費税法の課税売上の額に差異が生じることもあるので注意が必要です。)

中小企業の方は、この新基準が中小企業会計基準、指針、基本要領にどのような影響があるかの注意が必要ですね。

会計基準に対応するためにも、税務に対応するためにも、再度事業の流れの確認を行い、どの時点で収益を認識するのか、その際にどのように処理をするのかを検討する必要があります。

自社にどのような影響が出るのか、どのように開示を行う必要があるのかは顧問会計士、税理士等の専門家に御相談ください。

追加で情報が入り次第、またお知らせをさせて頂きます。

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